エレベーターガール
「エレベーターガール」
なんと3時間も昼寝をしてしまった。さすがに寝すぎ。激しい罪悪感に苛まれる。
そういえばお気に入りの作家さんの最新発表作は、寝てばかりいる無気力でだらしのない女の人の話だった。
アパートの一室で、窓を閉め切り、昼間でも分厚いシーツ目隠しのように吊り下げて、暮らしている。
仕事はせずに、朝ごはんを食べては眠り、昼ごはんを食べては眠る。昼間寝すぎるので、夜になかなか寝付かれない。
どんな仕事も適当でいい加減なので続かないみたい。
見かねた文中の「わたし」が親戚の縫製工場を紹介するが、あまりに仕事ができなくて
そこもやはり続かなかった。
そんな彼女の一番楽しかった仕事がエレベーターガールだったという。
私が昔勤めていた会社の営業所のあるビルには、デパートの事務所?も入っていて、時々エレベーターでデパートのエレベーターガールたちといっしょになった。
エレベーターガールの衣装はとても華やかだった。イエローのひらひらしたワンピースに小さい飾りのような帽子をかぶり白い手袋をしていた。仕事中ではないので、ビルのエレベーターの中では、みんなくだけていで和気藹々とおしゃべりしていた。私は、彼女達といっしょになると妙に緊張してしまった。たしかあの頃の私の制服は、上下グレーのスーツで、スカーフをリボンのように結んでいて、カタログや提案書や見積書が詰まった重いカバンを持っていた。カタログは入りきれず、製品名と社名がシッカリ印刷されている手提げの紙袋にも詰めて持っていた。その紙袋を三重くらい重ねてカタログを入れていた。一枚だと破れてカタログが落っこちたりするから、補強していったのだ。二枚目も破れそうになると、三枚目、三枚目も破れそうになると四枚目と何重にも重ねていったものだ。
重ねる分だけ、手提げの部分も増えていった。時々それがもつれて厄介だった。
あんなにカタログつめていたけど、ほとんど配っていなかったような気もする。
エレベーターガール、それは私にとり、ふはふはと軽やで華やかな春のイメージ。