マイナスの感情日和
「マイナスの感情日和」
車か自転車がないととても不便なところに住んでいる。
両隣と向かいは、田んぼだ。
田植えが終わって、梅雨に入る頃、カエルが一斉に鳴き始める。
ものすごい迫力だ。
夜になると
我が家のリビングの東の窓にズラリとカエルがへばりつく。
ここに越してきて初めてその光景を目にした時は、息が止まるくらい驚いたけど。
今ではもう、すっかり慣れた。
しかし突如部屋の中に出没するカエルにはまだ慣れない。
玄関のドアを開けた拍子に紛れ込んだり
窓枠のすきまや、網戸の破れ目から入ってきたカエルが
いつのまにかテレビの上にちょこんとすわっていたり
床の上をぴょんぴょん飛び跳ねているところに遭遇してしまうと
悲鳴を上げそうになる。
私はカエルにさわれないので、子供たちに頼んで外に出してもらう。
一度だけ、部屋の中に入ってきたのに見つけられずに外に出せなかった
カエルがいた。
そのカエルは、数週間後にミイラになって発見された。
その時私は、この家がますます嫌いになった。
この家に住んでいると、この家が嫌いになることがあまりにも多すぎて
うんざりする。
例えば、ベランダの壁に8つもある今は廃墟となったツバメの巣。
毎年毎年増えてゆく。
一度だけ、巣の中でヒナが全滅してしまったことがある。
餌を運ぶ親鳥に不慮の事故で死なれてしまったからだ。
餌を運んで来た時にスピードを出しすぎてベランダの壁にぶつかってそのまま落下して息絶えたのだろう。
巣の真下あたりに横たわっていた。