ライ ラ  ライ

「ライ ラ  ライ」

私はいわゆるレイソル好きながり勉だった。 中2の時、学年で一番できるレイソル好きな女の子と親友になったのがきっかけで、そうなった。 彼女は、サッカーが好きで、レイソルが好きで、 中学受験に失敗して、公立の中学に通うことを 恥ずかしく思っていた子だった。 学年で一番になっても、それが当然だと思っていたみだい。 落ちるはずのない試験に落ちてしまったことを知った彼女は 畳を転げまわって泣いたそうだ。 私は、密かに彼女をライバル視して、彼女に負けまいと とりつかれるように勉強した。 なんだかねえ。 今となっては、なんであんなに勉強したのかよくわからない。 いっしゅの強迫観念めいていた。 彼女は、ずいぶんと大人びた子だった。 話すことなどは、本当に、いっぱしの大人。しかも評論家。 社会や時事のことにもすごく詳しくて・・・。 それでも、彼女の話題の中心は レイソルだった。 当時、レイソルのファンの子なんて 彼女以外いなかった。 彼女には、年の離れたお兄さんがいて、そのお兄さんの 影響らしかった。 一度、彼女の家に遊びに行ったことがある。 まるで王女様のお部屋みたいに素晴らしくゴージャスなお部屋だった。 ビロード調のブルーのじゅうたんが敷き詰められていて その青さが目にまぶしかった。 すっごいでっかいステレオがあって、 大音量で、サイモン&ガーファンクルを聴かせてもらった。 ボクサーと言う曲だった。 ララララ♪のところを、ライラライ♪と歌ったのは 彼らのアイディアなんだということを知った。 うそうそうそ。うそうそなんだ。 みんなうそなんだ。 って歌っているんだよ って彼女に教えてもらった。 あの時、私は生まれてはじめて ほんまもんのメロンというものを食べた。 彼女に 「メロンでも、どうぞ」」って おやつに出してもらったのだ。 家で食べているプリンスメロンとは全然違った。 なるほど、これがメロンだったのか!! と、顔には出さなかったけれど心の中で 静かに感動していた。 ほんまもんのメロンを食しながら サイモンとガーファンクルの「ボクサー」を大音量で聴いた。 サビの部分で繰り返されたフレーズ ライラライ ライラライ が耳にこびりついている。 私はその時 もっともっともっともっと 勉強しなくては、と強く強く心に誓ったのだ。