せめてひとくちだけでも・・・
「せめてひとくちだけでも・・・」
それにしても一週間経つのは早いなあ。一週間前の今ごろ私は留袖を着て披露宴会場にいた。そろそろお開きの前の新郎新婦への花束贈呈でいっちゃん盛り上がっている頃だ。
私は自分の披露宴の花束贈呈の時のことを全然覚えていない。披露宴にはほとんどいなかったし。お色直しで着替えてばかりで、食事もひとくちも口にできなかった。
後で持ってきてもらえるのかなと期待していたが、もってきてもらえなかった。ものすごい心残り。
せめてひとくち、ひとくち味わってみたかった。披露宴の食事。
「わたしの分はどないなってんのん?」って披露宴が終わってから訊ねた記憶があるけど。結局ご膳はもらえなかった。普通もらえるのでは?
って、なんて食い意地がはっているのだろう、わたし、って書きながら恥ずかしくなっている今。
まあええわ。
私たちは、長唄をバックミュージックに相合傘で登場した。恥ずかしいってもんじゃなかった。恥ずかしさのあまり笑うしかなかった。究極の照れ笑い。
私は晴れ舞台が苦手だ。この私がスポットライトを浴びるなんて考えられないことだった。想像しただけでたのむ勘弁してクレーーの世界だった。だから式もできればしたくなかった。入籍だけの地味婚でよかったのに。
そんなわけいはいかない、ということで、結局あれよあれよとど派手な演出の結婚式になってしまった。
「村の青年団?」の祭り太鼓が会場中に響き渡ってもうびっくりするくらいの迫力だった。と、出席してくれた友人談。
私は笑ってばかりで一度も泣かなかった。
唯一、友人のスピーチを聴いてほろっとなったことだけ覚えている。
私たち新婦側の出席者ご一行は前日から泊りがけだったので、式の前日は前祝として宴会が行われた。
一行はカラオケで大いに盛り上がった。その時私の弟は、「22歳の別れ」を歌った。
友人は『ゴンドラの唄」を歌ってくれた。いーのーちみじかしーーー♪恋せよ乙女♪っていうやつ。
あとは誰が何を歌ったのか忘れた。私は確か「ここに幸あり」をうたったと思う。
楽しい宴会だった。私としては披露宴より思い出深い。